航空会社が定期便一機飛ばすに当たり、座席はできるだけ埋めたいのはどこの航空会社も同じだと思いますが、すべては需要と供給で決まります。しかしながら、定期便を飛ばしている以上、顧客が少ない時期に容易に減便して、顧客の利便性を低下させると他社に流れかねません。
感覚的には、お正月が終わった1-2月もしくはGW明けから夏休みが始まるまでの5-6月がなんとなく航空券て安い感じがするというイメージがあると思いますが、実際に航空券を予約する場合は、予約のタイミングや、残っている安いチケットの量などで、感覚的に思っている安さと、実態が伴わない場合もあります。
普段思っている感覚が、航空会社からみたもっと航空券を売りたい時期(=搭乗者にとってお得なチケットを手に入れやすい時期)があるのかどうか、公表するデータをもとに検証してみました。
航空会社の視点
飛行機を飛ばす側から見れば、夏休みや年末年始の人の移動が多い需要期がある一方、閑散期があるのはやむを得ないわけですから、ポイントは以下2点かと思います。
- 需要期にいかに機会ロスをなくすために輸送力を上げるか
- 閑散期で容易に定期便を減便できない状況下、空席率を下げて1機1フライト当たりの採算性を上げるか
今回は、2点目に絞って、航空会社が公開している搭乗実績他のデータとの関連性を検証してみました。
データ
日本を代表するFSC(フルサービスキャリア)であるJAL、ANAのデータで見てみましょう
国内線
旅客数推移(2016年度~2019年度上期)
両社に多様なパターンに見えますが、繁閑の差はANAのほうが大きいようです。
旅客数が低いのは、4月と2月ですが、4月の旅客数は年々増加していますので、両社共通して2月が最も旅客数が少ない月といえると思います。
両社とも年々旅客者数が増えていることがわかります。
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利用率推移(2016年度~2019年度上期)
利用率とは、RPK(有償旅客キロ=輸送量)/ASK(座席キロ=キャパ)で計算します。
両社とも利用率も年々改善していることがわかります。
一方、4月と2月が利用率が低いですが、いずれも4月は年々改善していますので、一番利用率が低いのは両社共通して2月となり、旅客数が示す1月からは1か月ずれています。
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この1か月のずれは、推測ですが暦が影響していると思われます。2月はうるう年でなければ1月より3営業日少ないため、旅客者総数が減るので、実質的に旅客者数が1年で最も減り、利用率も最低であり、航空会社が、日本の国内線において、何とか状況を改善したいと思っているのが、1月ということになると思います。
1月は両社のステータスポイント(ANAはプラチナポイント、JALはFLY ON ポイント)のカウント開始月であり、結構な数の修行僧が羽田ー那覇を中心に修行搭乗しているはずですが、その影響も全体を改善するには至っていないようです。
国際線
旅客数推移(2016年度~2019年度上期)
国際線も季節的な繁閑の差は国内線同様ANAのほうが大きいようですし、旅客者数が低いのは2月というのも国内線同様です。しかし、国際線は2月も年々改善している様子がわかります。
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利用率推移(2016年度~2019年度上期)
国際線利用率になると、少し様子が変わってきます。
ANAは5月が最も低く、JALは12月となっています。
一方、利用率は全体的にJALのほうが、ANAよりも高い利用率になっているといえます。
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まとめ
国内線と国際線で微妙に状況は異なりますが、日本の場合総じて夏ダイヤは盛況、冬ダイヤは夏ダイヤに比べれば閑散期といえるのではないでしょうか?
国内線と国際線に分けてみれば、国内線は1月がもっとも閑散、国際線は5月がもっとも閑散ではないかと思います。
この時期を狙って、安いチケットを探すことで、より安いFOP単価の修行ルートが見つかるかもしれません。
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