上級会員プログラム(Elite Status program)は、通称マイレージサービスと呼ばれる航空会社が顧客に対して行うポイントサービス(FFP:フリークエントフライヤープログラム)が起源で、航空会社以外には、大手ホテルチェーンや、移動とはあまり関係ない飲食チェーン店でも展開されています。
航空、ホテル業界は、グローバル化の流れに乗り、9.11、経済危機等乗越えて、さらに発展拡大してきましたが、一定量の人の移動を前提とした業界になります。
今回のコロナ禍の影響がいつまで続くかは、見通せない状況ですが、特効薬が出ない限りは、2022年ごろまでは断続的な人の移動制限をかけ続けないと安心して移動ができる程度にまで収まらないとの一部報道もあります。
現時点で各大手航空会社、大手ホテルチェーンは、概ね上級会員のステータスを1年延長する等の救済策を実施し、従来顧客のつなぎ止めを発表していますが、ほぼほぼでもコロナ前までの状態に戻るまでの期間が、数年続けば体力のない航空会社から、上級会員のステータスは一旦リセットとしてくるところが出てきてもおかしくない状況かと思います。
上級会員プログラムの母体であるマイレージプログラムの歴史をほんの少し紐解きながら、コロナ後の上級会員の姿を独断と偏見で徒然なるままに考えてみました。
航空会社マイレージプログラムの歴史
航空会社のマイレージプログラムの歴史を大まかにひも解いてみましょう
.
航空会社の上級会員サービス概要
各航空会社で一様に提供している上級会員サービスの概要は以下の通りかと思います。
- 上級会員専用手続きカウンターでのチェックイン
- 上級会員用ラウンジの利用
- 予約時の優先キャンセル待ち、空港での優先空席待ち
- 空港での優先搭乗
- 優先的な荷物の取り扱い(許容量、受取)
- ボーナスマイル
- 座席の優先指定
どれもあったらうれしいサービスではありますが、個人的にはあまり利用していないサービスもあります。
ただし、上記は3大アライアンスではおおむね謳われているサービスですので、個社の事情により一部はやらないというのは難しい状況もあるのでしょう。
コロナ前の上級会員サービスの課題と考察
筆者も含め上級会員の思考回路を勝手に考えると、飛行機に乗る頻度が高いがゆえに
- どこでも並びたくない、待ちたくない
- できればお気に入りの席に座りたいか、避けたい席を避けたい
- 待ち時間はやむを得ないが、その間は可能な限り楽に、楽しく過ごしたい
- できればインボラアップされたらいいなぁ
並びたくない、待ちたくない
1、上級会員専用手続きカウンターでのチェックイン
どの空港でも、だいたい空いてて大変ありがたい。ぜひ維持してほしい
2、優先搭乗
搭乗に待たない、並ばないが望ましい姿ですが、現実は一部路線では優先搭乗者が、そうでない人より多すぎてわけわからなくなっている。もっと絞れないのかなあ?もしくは国内線に優先搭乗必要?
3、予約時の優先キャンセル待ち、空港での優先空席待ち
機内でいかに快適に過ごすかという意味では、これも大変ありがたいサービスです。ぜひ維持してほしい。
4、到着時の荷物が優先タグ通り出てこない場合がある(特に海外空港)
一部海外空港ではあまり徹底されていない?
でも世界のグラハンのレベルをそろえるのはなかなか難しいとは思います。
待ち時間はやむを得ないが、その間は可能な限り楽に、楽しく過ごしたい
1、ラウンジ混雑
想定来場者に対しラウンジが狭いのか、来場者が多すぎるのか
アライアンス会社運航便含め出発時刻、ラウンジに立ち寄れるアッパークラスの座席数、上級メンバーの存在率、一定の立寄り率から時間帯別最大立ち寄り者数はある程度計算できます。
以前羽田国際ターミナル(現ターミナル3)の時間帯別、アライアンス別出発便数をまとめたことがありますが、最大で8時台、10時台の12-13便、最低複数の時間帯で散見される2便とかなり幅があります。
混んでる度合いの認識が、利用者と運営者で異なっていればこの問題は解決しません
筆者も国内外ラウンジはほとんど寄ります。あくまで自分が立ち寄っている範囲での一般的なイメージですが、国内のラウンジはいつも何となく混んでいる、海外ラウンジは空いてるなーというイメージです。
2、ラウンジでの提供飲食物の衛生状態
とくにコロナ禍で気にされだした話ではありますが、食品のオープン陳列及びビュッフェスタイル
コロナ後当面はビュッフェスタイルは縮小され、スナック等の軽食は個装化、ホットミールはスタッフによる盛付提供かオーダー方式になるのではないでしょうか?
一方で個装化されたスナック等の持ち去り防止は、チケットやスマホのQRコードで一定量1回のみの提供ができれば、防げるような気がします。(設備投資が必要ですね)
できればインボラアップされたらいいなあ
インボランタリー(=自発的ではない)であり、理屈的にはオーバーブッキングが発生し、やむを得ずでないと発生しないことになっていますが、航空会社の思惑や、様々な特定顧客への配慮等で行われることがないとは言えない状況ですので、上級会員であればあるほど期待してしまうのが人間の本性ですが、頂けたらラッキー、ありがたく過ごさせていただくものであり、インボラ期待満々ででカウンターで交渉するのは違うと感じます。
コロナ後の上級会員サービスとは
航空業界も厳しい競争の中で生き残りをかけて戦っています。他社が独自に行うあらゆる新しいサービスは気になるでしょうし、そのサービスが評判が良いとなれば、追随もしてしまうでしょう。
1981年にアメリカンが始めたマイレージサービスがここまで進化し、航空会社は如何に自社便もしくはコードシェア便への搭乗率を上げるかを目指して、サービス内容を向上させてきました。
ほとんどの航空会社で上級会員の維持やそのサービスの実質上停止などで一旦リセットとなれば、提供側である航空会社は今一度自社の状況を見つめなおす時間が得られ、いままで他社との競争や従来始めてしまったサービスをなかなかやめられないしがらみから解放され、自社がおかれいてる状況を踏まえそのエアラインを愛してやまないロイヤルカスタマーをいかに気持ちよくさせるサービスは何かについて考え直すことでしょう。すでに考え始めていると思います。
コロナ禍真っ最中のラウンジの運営状態は、あまりに来場者が少なく、閉鎖もしくは複数のラウンジの集約化がすでに実施されています。さらに日系2社は、集約に当たり、ダイヤモンドメンバーへの配慮か、それぞれファーストラウンジへの集約としています。(ただしサービス内容は相当削減されていますが)
透けて見えるコロナ後の日系2社上級会員の改革(改悪?)予測
まず、最上級位(JAL/エメラルド、ANA/ダイヤモンド)は、ステータスの維持とクレジットカードと紐づいていませんので、ある意味大胆に改革できる部分かと思います。
航空会社にとってみれば、どうしても取りたい人はもっと乗ってもらえる期待が持てます。
中級位(JAL/サファイア、ANA/プラチナ)はクレジットカードとの紐づけがあるのでなかなか手を付けにくいところではありますが、
その分の搭乗も増えますし、カードの年会費同様、ステータス維持のマイルによる年会費みたいなイメージでしょうか?
最後に
利用者の立場としては、決して起きてほしくないことかもしれませんが、パラダイムシフトが起きつつあり、マイレージサービスそのものの存在意義を問われているのかもしれません。
海外のラウンジをいくつか立ち寄ってみた感想としては、日系は「おもてなし」、日本的サービスと称して、日系2社で競い合い、すこしグローバルスタンダードから突き抜けてしまっている印象を受けます。
今回のサービスほぼリセットを上手に利用して、少し修正をかけてくる可能性があります。
ラウンジに何を求めるかは利用者それぞれですが、何を提供するかは、航空会社の戦略次第であり、利用者は提供されるサービスの中で利用するしかありません。
生き残るためには、変化への対応が不可避であり、変わりつつある現状をいかに受け止め、その現状に自らの考え方を合わせていかなければ、振り落とされてしまうような気がしてなりません。
クリック頂けますと励みになります。
コメント